先日ついに日本にも入荷されました。
ドイツ・ザール地方で造られているクラフトジンの【フェルディナンズ・ザール・ドライジン】。
当店のお客様の中でも「ついにフェルディが日本で買えるようになった!!!」と早速ご購入された方も数名いらっしゃるようです。
入手されたバーテンダーの方々からも「美味しいですよね!」「これ1本で完成されていますよね!」などのお言葉を聞いて、とても嬉しくなりました。
というのも、カクテルバー・ネマニャとフェルディナンズは少しだけご縁があるのです。
今日はそんなフェルディナンズとのご縁と、蒸留所を訪れた際の様子をブログに書いてみようと思います。
あまりに思い入れが深すぎて(笑)長文です。すみません・・・・・。
2014年にパリの酒屋さんで出会った【フェルディナンズ・ザール・ドライジン】。
ボタニカル由来の華やかな香り、上品かつ繊細な味、そのクオリティの高さに衝撃を受けました。
それ以来欧州に行くたびに購入し持ち帰ったり、ドイツや英国の酒屋さんを通じて日本に送っていただいたり。
このドライジン以外にも、フェルディナンズ・ブランドの製品として、ヴィンテージ品の「ゴールド・キャップ」や西洋カリンを原料とする「クインス・ジン」、ボタニカルを使用し造られている各種ビターズ、ベルモットなどが造られているのですが、どれもこれも本当に洗練された上品な味わいの製品揃いで毎回驚かされます。
このフェルディナンズ・ブランドが私も店主も大好き。
製品を入手し、お客様方にご紹介し、その都度皆様に「何これ!凄い!美味しい!!!」と驚かれたり、お喜びいただくのが我々の楽しみであり喜びでもあります。
そのせいか、ネマニャのお客様には熱烈なフェルディ・ファンの方が多くいらっしゃいます。
とっても嬉しいです。
そんなフェルディナンズ。
ドイツでブランドのアンバサダーを務めていらっしゃるバーテンダーさんが店主の昔のフレアのお仲間というご縁があって、蒸留所の関係者の方々と面識ができました。
その後、蒸留所が作ったカクテルレシピブックに当店のカクテルレシピをご掲載いただいたり。
昨年ベルリンで行われたバーコンベントの際にはブースまでご挨拶に。
あまりに好きすぎて昨年の暑中見舞いハガキもフェルディナンズ一色でした。
とにかくフェルディナンズが大好きなんです!!!と猛アピールしまくる日々(笑)
こんなに素晴らしい製品を次々に生み出す蒸留所。
これは行きたい。是非この目で見てみたい!
欧州に行く度に見学のお願いをしてきたのですが、少人数で運営されている小さな蒸留所なので、なかなかアポイントが取れませんでした。
そして今年の
2月。ようやく訪れたご訪問のチャンス。
私用でドイツ滞在中に舞い込んだ
1通のメール。
「そういえば今ドイツにいるんでしょ。うちに来たいって言ってたよね。明後日ならいいよ。」とのこと。
思わず「えーっ!!!!嘘!!やったー!!!」と叫んでしまいました。
既に予定が入っていたのですが、このチャンスを逃すともう一生行けないかも。
そう思い、
DB (ドイツ鉄道)のタイムテーブルを基に、なんとかご訪問できないかあれこれ考えた結果、現地滞在
2時間という強行スケジュールでお邪魔することになりました。
それもこれも私が運転免許を持っていないせいです(涙)
通常は山奥など過疎地にある蒸留所が多いので、公共の交通機関で訪れるには限界がありますね。
当日はフランクフルトから蒸留所に向かい、夜までにフランクフルトに戻るスケジュール。
(なぜならこの日
20時からネマニャさんの演奏会だったからです・・・・。)
車無しでもなんとか行くことはできたという一例として、ご参考までに・・・(バタバタでしたが。)
蒸留所があるザール地方に行くにはフランクフルトから北側のコブレンツ経由か、南側のザールブリュッケン経由の
2ルートがあります。
私はザールブリュッケン経由のルートで行くことにしました。
フランクフルト中央駅発パリ行きの
ICE(日本の新幹線的な電車です)に乗車しました。
時刻は午前
9時前です。
約
2時間でザールブリュッケン駅に到着します。
ここで下車しローカル電車に乗り換えます。
ザールブリュッケン駅を出て暫くすると車窓から大きな工場跡地が見えます。
世界遺産のフェルクリンゲン製鉄所です。
通り過ぎる一瞬しか見れませんが、少し得した気分になりました。
そして電車はザール川に沿って走るのですが。。。。。。
イメージしていたザール川は碧とか青とかのキラキラな川だったのですが、実際は泥水みたいな濁った色でした。前日の雨の影響でしょうか。
1時間強でトリーア駅に到着しました。
本来なら途中のヴィルティンゲン駅で降車するのが蒸留所には近いのですが、この日はトリーア駅までお迎えに来て下さるとのことだったので、トリーア駅で降車。
ここトリーアはドイツ最古の町として知られています。
城門であるポルタ・二グラは世界遺産。
待ち合わせの前に記念撮影してみました。
13時にお迎えに来てくださったのはマスター・ディスティラーのアンドレアスさん。
蒸留所の車でモーゼル川沿いの道を走ること約
30分。
ザール地方はルクセンブルクとの国境沿いに位置するので、川の向こうにはルクセンブルクの街並みが見えていました。
とても美しい風景でした。
車内ではボタニカルのことや製造法、アンドレアスさんの蒸留家としてのご経歴などあれこれ質問させていただきました。
とはいえ私の語学力では半分くらいしか理解できていません。
もっと勉強しないといけませんね。
そしてついに到着。
ザール地方にある小さな村、ヴィンヘリンゲン。
念願叶ってようやく来れました。
こちらに住んでいらっしゃる住民の方は約
100名。
アンドレアスさん曰く「全員顔見知り。ビッグ・ファミリーだよ。」とのことです。
私が東京のマンション住まいなので「うちは隣の人の顔もよく知りませんよ。」と言ったらビックリされてしまいました・・・・。
村を見下ろす高台にある蒸留所所有のボタニカルを栽培する果樹園。
かつてワイン用のブドウ畑だった土地を譲ってもらい、様々な果樹を植えているそうです。
この当たりのエリアは小さな桃を植えていて、春になると綺麗な花を咲かせるそうです。
桃(といっても小さなプラムにちかいものとのこと)収穫の時期は9月。約1トンの果実をお手伝いの方も含め4名で2日かけて収穫するそうです。
こちらが蒸留所であるアバディス・ディスティラリーです。
建物は2年ほど前に新しく建て直したそうです。
建物の外から蒸留器が見えていました。
人口100名の村だけあって周囲には数軒の民家が建ち並ぶのみ、本当に静かな場所です。
蒸留所の目の前にバス停があったのですが、電車の運行に合わせているので1日数本しか走らないとのこと。
1824年創業という歴史ある蒸留所。
元々はフルーツブランデーやリキュールを生産されており、もちろん今でも製品として造られていますが、現在の主力製品はやはりフェルディナンズ・ザール・ドライジンとのこと。
【フェルディナンズ・ザール・ドライジン】はこのアンドレアスさんと、ドライジン製造時に添加しているワインの生産者、ゲルツ・ツィリケン醸造所のドロテーさん、そして販売総代理店のキャプレット&モンタニューのデニスさんの3名で始められた共同プロジェクト。
ドイツでの人気はもちろんのこと、ベルギー、オランダ、英国、フランス、デンマーク、ポルトガル,、イタリア、スイスなど欧州各国に輸出され、各地でマスタークラスやワークショップが行われているほど、欧州を席捲する勢いの注目ブランドです。
アンドレアスさん曰く「日本人が来たのは初めて」とのこと。
「初の日本人ゲスト」というなんとも光栄な名誉を手に入れました!
一生自慢します!(アホです・・・・)
玄関に飾られたザール・ドライジン。
収穫の風景などを撮影した写真も展示されていました。
建物の2階が蒸留室兼オフィス&試飲ルームになっていました。
通常の蒸留所のイメージとは異なり、オフィス内に蒸留器をポンと置いたような感じです。
ワイン樽で熟成したウイスキーも造っていらっしゃいます。
塾数年数は短いですが、こちらも本当に美味しい製品です。
この日は残念ながら蒸留は行われていませんでした。
興奮し過ぎて撮影が適当なため、肝心の蒸留器がこんな写りになっています・・・・。
この蒸留器、壁面に設置されたタッチパネルと連動していて、完全にデータ化された自動制御式。
稼働時はこうなるというパネル表示を見せていただきましたが、蒸留時の状態がすべて図式化され、原料毎に遷移状況や燃焼条件、温度やアルコール度数が細かいデータとして表示されていました。
このデータを蓄積するのに莫大な時間がかかったそうです。
そしてこの蒸留器はカール社に頼んで特注で造ってもらったとのことで、「ドイツでこれだけの蒸留器を持っているのはここだけ。欧州中見てもこれだけの設備は初めてだと思う。」と仰っていました。
ドイツ語の表示だったので、細かい内容は確認できませんでしたが、本当に凄いシステムでした。
自動制御の蒸留器は増えているとは思いますが、ドイツのこんなに小さな村でこの設備というのは驚愕です。
ドライジンのベース・スピリッツは小麦、スペルト小麦、ライとおっしゃっていました。
ボタニカルには自家栽培の果実やハーブ、花類を多く使用され、ジュニパーベリーはクロアチア産だそうです。
ボタニカル毎の蒸留液やクインス・ジンに使用している原液を試飲させていただきました。
クインス・ジンは自家果樹園で栽培した西洋カリンをマッシュしスピリッツを加えたのち、更にマセレーションするとのこと。製造時には
5%の砂糖も添加されています。
このクインスの原液、甘くて本当に美味しかったです。
日本のカリンのイメージとは全く異なります。
建物の地下ではボトリングが行われているそうですが、そちらは時間がなく見学できず。
以前は完全にハンドクラフトで行っていたそうですが、最近導入されたマシーンでボトリングからラベル貼り、キャップまでは自動で行うそうです。
今でも唯一ハンドクラフトで行うのがこちら。
フェルディナンズ・ザール・ドライジンは通常はペーパーで丁寧にラッピングされた状態で販売されているのですが、このラッピングは手作業とのこと。
アンドレアスさん曰く「この作業が一番苦手。」だそうです。
包み方に癖が出るそうで、どなたが包んだか見ればわかるとのことでした。
ちなみに生産数はザール・ドライ・ジンは「沢山造っているからわからない」とのこと。
ゴールド・キャップは年間980本。クインス・ジンは年間6000本だそうです。
樽の保管庫は敷地内にはなく、シュバルツヴァルトにあるとのことでした。
限られた時間の滞在のため、本当に慌ただしい見学になってしまいましたが、とても勉強になりました。
嬉し過ぎてあまりにテンションが上がり過ぎて、始終アンドレアスさんを質問攻めしていた割に、興奮し過ぎて肝心の話は殆ど理解できていなかった感もありますが・・・・。
自分の語学力の不甲斐なさに猛反省です。
「今度は蒸留している時においでよ。」とおっしゃっていただいたので、次回はゆっくり時間を取ってまた是非お邪魔させていただきたいです!
それまでにもう少し言葉をなんとかしておきます・・・・。
最後にフェルディンナンズのボトルを持って記念撮影。
本当にお世話になりました!
帰りの電車の出発時刻は
15時過ぎ。
時間に合わせてザールブルグ駅までお車で送っていただくことに。
途中クインスの自家果樹園にも立ち寄っていただきました。
こちらには
800本のクインスが植えられています。
10月の収穫時にはすべて手摘みされるとのこと。
この日は翌年の収穫に向けての剪定が行われていました。
果樹園の管理や収穫のお手伝いには地元の障害者の方々を積極的に採用されているそうです。
現在は一部のボタニカルのみ自家栽培ですが、今後周辺の土地を購入し自家果樹園やハーブ畑をさらに拡大し、自家栽培のボタニカルを増やしたいとのこと。
そして雇用を拡大し社会貢献をしたいとのことで、既にドイツ政府からプログラムに対する支援も受けているそうです。
素晴らしいアイデアですね。
こちらは果樹園に遊びに来ていたアンドレアスさんの飼い犬。
駅に向かう最中に見せていただいたブドウ畑。
ザール・ドライジンの最大の特徴は製品に白ワインが添加されていること。
ゴールド・キャップ、クインス・ジンにもそれぞれ異なる品種とヴィンテージのものが使用されています。
ゲルツ・ツィリケン醸造所のオフィスもこの近辺にありました。
「せっかく来たから玄関だけ見せるね。次ゆっくり来た時に醸造所も案内してあげるから。」とのことで、本当に玄関だけ車窓から見せていただきました。
残念ながら降りてご挨拶する時間もありませんでした・・・・。
ザールブルグ駅に到着したらちょうど電車が来ていたので、アンドレアスさんにお別れのご挨拶をし電車に乗り込みました。
蒸留所自体には滞在1時間・・・・という本当に慌ただしいスケジュールだったにも関わらず、快く見学を許可いただき、本当にお世話になったアンドレアスさん、そして見学許可をいただく際にセッティングいただいたデニスさん、本当に本当にありがとうございました。
今後もカクテルバー・ネマニャはフェルディナンズ一押しです!
フェルディナンズ・ファン拡大のために、陰ながらコツコツ宣伝させていただきます!
帰りはコブレンツ経由。
車窓からモーゼル川がこんな感じで見えていました。
そしてこのルートはコブレンツ駅でフランクフル行きに乗り換えるのですが。
コブレンツーフランクフルト間といえば、かの有名なライン川沿いの旅なので、車窓からお城が沢山見えます。
行きと同じく少し得した気分になりますね。
19時前にはフランクフルトに到着しますので、電車で日帰りでも蒸留所見学に行けます。(ただしご覧の通り慌ただしいです・・・・・)
運転免許は必須ですね。
ロケーション含め本当に素晴らしい蒸留所。
「フェルディナンズ・ザール・ドライジン」と製品の名前にわざわざ【ザール】と謳うだけある、本当に美しく素敵な場所です。
皆様も機会がございましたら是非一度訪れてくださいませ。
★そしてここで宣伝★
カクテルバー・ネマニャに新しいフェルディナンズが入荷しました。
前回デンマークで購入した「デビルス・ストレングス
66.6%」。
こちらがデンマーク・ポルトガル市場向けの製品【カスク・ストレングス
66.6%】としてリリースされました。
そしてドイツの【フェルディナンズ・サンジバー・スペシャル・エディション
45%】。
通常製品とレシピと度数が異なっております。
この
2種類がドイツより入荷いたしました。
是非ぜひ味わいにいらしてくださいませ。