> Cocktail Bar Nemanja: Slyrs whisky distillery 探訪記

2015/02/18

Slyrs whisky distillery 探訪記

先日バイエルン地方にあるジャーマン・ウイスキー「Slyrs」の蒸留所に見学に行ってきました。

ミュンヘン中央駅から電車に乗って約1時間。


同時刻で行き先が二カ所表示されていました。
途中の駅で連結を切り離し、前方の車両と後方の車両で行き先が異なる電車のためです。
間違えた車両に乗ってしまうと、違う行き先に連れていかれます・・・・・。

車内に提示されたスノーボード・ワールドカップのポスター。
ちょうどこの翌日が大会だったため、車内にはボードを抱えた方が大勢乗っていました。
乗客の大半はスキーやスノーボード目当ての方らしく、普段着で乗っていたのは私を含めて数人でした・・・・・。


ミュンヘンから離れるにつれ、雪が深くなっていきます。
途中車窓から見えたシュリールゼー湖。水面は凍結していました。


蒸留所の最寄り駅「フィッシュハウゼン・ノイハウス駅」に到着です。


こちら駅のホーム。雪に埋もれています。


こちらが乗車していた電車。


この路線の運行は1時間に1本の割合なので、列車の到着に合わせてドイツ鉄道運営のバスが駅で待機していました。
この駅で下車された方の殆どがバスに乗車されましたが、私は徒歩で蒸留所を目指しました。

事前に日本でグーグルマップを使って調べたら、駅からは1キロほどの距離でした。
1本道なので方角さえわかれば地図無しでも行けそうでした。

駅を出て歩いていたら蒸留所のサインを発見。


蒸留所へ続く1本道。途中小さな小道に枝分かれしていました。ここへ迷い込んだらきっと遭難しそうだなーと思いながら、ひたすらまっすぐ歩きます。


この辺りは夏は避暑地、冬はウインター・スポーツのメッカと観光地のようでした。
町ともいえない静かな場所でしたが、ところどころにレストランやプチ・ホテルらしき建物がありました。




雪道を歩くこと約15分。ついに到着しました!
こちらがSlyrs 蒸留所です。



早速中へ入ってみます。


中へ入ると広い空間にレセプションとショップがありました。
元々はフルーツ・ブランデーを造っている会社のため、ウイスキー以外にも自社製品のリキュールやフルーツ・ブランデー、ジン、ウォッカなども販売されていました。
更にはウイスキーを使用して作られたハムやチョコレート、ジャム、使用済みの大麦を再利用して作ったというドイツパン、キャップやリュックサックなどの蒸留所限定アイテムなども・・・・・。


見学の入場料は6ユーロ。私は事前に個人ツアーを予約していたので、追加の60ユーロで計66ユーロをお支払い。
ドイツ語は全くわからないので、支払いにも一苦労。事前に英語ガイドさんをお願いしておいて良かった・・・・・・。

ツアーの前に小さなシアタールームで蒸留所の歴史について触れたビデオを鑑賞しました。


「何か質問があれば何でも聞いて。」と仰るガイドさん。
ここで一番気になっていた事を聞いてみることに。

それは「このウイスキー名はドイツ語では正式にどのような発音ですか???日本では【スライヤーズ】と呼ばれているのですが・・・・・。」です。

ガイドさん曰く「ドイツ語ではSの音がほにゃらら、Lの音はほにゃららだから・・・・・・(以下略)。だから発音は【シュラース】よっ。」とのこと。

ところがこの音、私の耳には【シュラース】と聞こえたので「シュラース?」と言ってみたところ、「違う、違う。シュラースよ。」との事・・・・・。
「え?シュラースでしょ?」「違うわよ。シュラースよ。」「うーん?シュラース?」「ちょっと違うわねー。シュラースよ。言ってみて。」

と、このやり取りを延々続けたのですが、結局正しい発音は不明・・・・・。

耳に聞こえる音は【シュラース】なのですが、【シュラース】と発音すると「違うわねー。」と仰るので、結果「日本語で言うと【シュラース】が一番近い。」という結論になりました・・・・・。


そしていよいよ内部の見学。
私の拙い語学力ではガイドさんの説明は度々聞き取れなかった(涙)ので、以下覚え書きです。

蒸留所は1999年創業。
創業者がスコットランドを訪れた際に、バイエルン地方と気候、風土がよく似ていた為、ウイスキー造りに着手しようと思われたそうです。
2007年に現在の場所に新しい蒸留施設を造ったとの事でした。

こちらは大麦用のサイロ。大麦はバイエルン地方北部のフランコニア産を使用との事。


2500キロの大麦を粉砕し、山の水を加え、67度で3~4時間かけて糖化。


酵母を加え約20度で発酵。7日かけるそうです。


右が糖化後、左が発酵後。大麦の味わいが生きていて、甘くてとても美味しかったです。


ポットスチルは初留が2基。再留が1基。


6000リットルの発酵液を約8時間かけて初留。
20度のローワインを1500リットル得ることができるそうです。
ちなみにポットスチルは創業者自らがデザインし、ドイツのシュトゥットガルトでハンドメイドで造らせたとの事。


ガラス張りの再留基。再留でヘッドとテールをカットし出来上がる70度のニューポット。
この時点で400リットルになっているそうです。


このガラス張りの再留基。鍵付きになっていて、中に入ることはできません。
これは盗難防止とのこと。ただし外部の人間ではなく、蒸留所内のスタッフに対してとの事。

ドイツの法律ではウイスキーに課せられた税金がとても高く、1リットル当たり13ユーロ(約1950円)もかかるそうで、蒸留所内の人間が原酒を盗み生産量を誤魔化さないように、政府の指示でこのような造りになっているそうです。
よって蒸留所のスタッフであったとしても、この再留基に許可無しで手を触れる事はできないそうです。

原酒は加水され55度に調整した後に、ミズーリのホワイトオークの新樽に詰められ貯蔵されます。
2基あるサイロの裏手にウェアハウスがあります。


 こちらに眠る樽は全部で600樽とのこと。




そしてこのウェアハウス。貯蔵庫兼、ギャラリー兼、試飲ルームにもなっていました。
まだまだ歴史の浅い蒸留所ですが、次々にリミテッド・エディションをリリースしているので、過去発売したウイスキーをずらりと陳列していました。


こちらは毎年発売される限定の「DIABOLI」。


そしてこちらが2002年にリリースしたスタンダードの記念すべきファースト・ボトル。ボトリングナンバーが0001になっています。当時の生産量は年1600本だったとのこと。
大切に保管されているそうです。


この他にも樽の展示や、香りをサンプリングできるコーナーもありました。




こちらは併設の試飲コーナー。


ウイスキーやウイスキー・リキュールなどを試飲させていただきました。


それにしてもこのウェアハウス。とても素敵な造りですが、ギャラリーや試飲ルームと兼用で、お客様が来るたびにしょっちゅう開け閉めしていたら温度管理が難しいのでは???と疑問。
冬場は蒸留所を訪れる方は殆どいない(この日も私一人だけでした)そうですが、夏場は大勢の方が訪れるそうなので、その度に貯蔵庫を開け閉めするのって大丈夫なのかな?と思いました。
「これ以外にもウェアハウスってあるんですよね?」と聞いてみたら「ここだけよ。」との事。

ウイスキー造りにとても愛情があって細やかなところにまで気を遣っていらっしゃるように見受けられましたが、こういうところは意外と豪快なんだなーと不思議に思った私でした。
こういった点も含めてジャーマン・ウイスキーの面白さなのでしょうか。

ボトリングの際のコルクキャップを入れる作業や、ラベルを貼る作業はすべてハンドメイドで行っているそうです。小さな蒸留所ならではですね。

試飲の際にいただいたパン(糖化後の麦芽を再利用して焼いたもの)や水(仕込み水と同じだそうです)もとても美味しかったので、元々の素材の良さがウイスキーの味にも活きているのだなと実感しました。

帰りにショップでウイスキーやジン、リキュール、チョコ、ハムなど色々と購入。
お世話になったガイド様、蒸留所のスタッフの皆様、本当にありがとうございました。

道なき道を重い荷物を抱えて駅まで歩きます。


雪の向こうに見える駅。完全に埋まってますね・・・・・。


とても楽しくかつ勉強になった蒸留所見学でした。


ここでネマニャでも扱っている製品をご紹介致します♪



写真中央がスタンダード。熟成3年でリリース。年間の生産数は8000本です。
熟成3年という若さとは思えないほどまろやかで、かつライトな口当たりになっています。

昨年はシェリー、ポートワイン、ソーテルヌの各樽で仕上げた商品もリリースされています。使用樽によって仕上げの熟成年数を変えているそうです。
シェリーは1500本、ポートとソーテルヌは各750本の生産で既に全商品完売になっています。
Cocktail Bar Nemanja ではシェリー・フィニッシュをご用意しております。既に残り僅かですので、無くなり次第で終了となります。

写真右がウイスキー・リキュール。ハーブとハニー&バニラの2種類が生産されています。
今回購入したきたのはハニー&バニラ。柔らかい甘さでとても美味しいリキュールです。

とても小さな蒸留所ですが、素材の良さと周辺の環境の良さ、そしてドイツらしいもの造りへのこだわりと、バイエルンらしい陽気さ(のんびりさ)が融合してこの味が出来上がるのだなと思いました。
実際にこの目で見て、一段と愛着が湧きました。

ちなみにSlyrsは「ジャーマン・ウイスキー」ではなく自らを「ババリアン・シングル・モルト・ウイスキー」と名乗っていらっしゃいます。
地元であるバイエルン(ババリア)地方に誇りを持っていることがわかりますね。
きっとこれからも素晴らしいウイスキーを造ってくださるのだろうな。

遠い日本でその製品を皆様にご紹介できることを私も嬉しく思います♪
是非ぜひ一度お試しになってくださいませ。


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